【建築】Bamboo wing / Vo Trong Nghia Architects


大学時代の友人である丹羽隆志がパートナーを務めるVo Trong Nghia Architects が設計したBamboo wingを見てきました。ハノイの北西部、市街地から車で80分(空港からだと30分程度)にある湖のほとり、ダイライ・リゾートのレストラン施設です。敷地内にリゾートホテルや豪華な別荘が点在する場所です。

とにかく素晴らしかった。竹を束ねて構造体にしているんですが、これが美しいだけでなく非常に挑戦に溢れていた。
写真で見ても分かるようにベトナム北部の竹は日本で見る竹よりも肉厚なのだが、耐久性を高めるために水につけて腐らせてから燻製にしている。なので、基本設計が終わった時に竹だけ発注して加工に入るのだそう。竹を束ねるバンドも紫外線に強い劣化しない素材を厳選していて、3年毎に巻き直すメンテナンスのシステムを導入していると。

元々は木造の文化があったけれども、木材がすぐにシロアリにやられてしまうベトナム。虫が寄りにくく使える木材はいわゆる南洋材ばかりで、それだと集成材がつくれないから、ということで竹を束ねるアイディアにたどり着いたのだという。
法規が緩い環境だから実現できるという側面もあるけど、近代化(=コンクリート化)を乗り越えるべく積み重ねられた挑戦にとても感動しました。
池に埋もれるような人工的なランドスケープと、生々しいけどデザインされた構造体の繰り返しがとても魅力的な体験でした。

隣接するコンベンションセンターも彼らの設計で、こちらは竹が直線状に使われている。僕らの感覚からすると竹はしなるものだと思ってしまうから、先のBamboo Wingの方が竹らしい構造に見えてしまうが、実際は肉厚の竹のためほぼ直線らしい。

ハノイの事務所にも遊びに行きました。竹ひごでつくられた構造模型がたくさん置いてあるのがとても面白い。ハノイとホーチミンに事務所があってハノイだけでも30近いプロジェクトが動いているとのこと。まだまだ建築家という職業やデザインに対してお金を支払うということに社会の意識が低く、苦労もあるという話でしたが、今後の展開がとても楽しみ。


2014-10-26