Hiroki Tominaga – Atelier

四寸角の写真スタジオ(スタジオバジル) / Photo Studio with 120mm square timber


四寸角の写真スタジオ(スタジオバジル) / Photo Studio with 120mm square timber
商品や雑誌などの撮影を住宅のシーンで撮るための写真スタジオである。住宅それぞれのシーンを、既存倉庫の鉄骨躯体の下に、自立した木造平屋の建物としてひとつに構築することが求められた。スタジオに求められるのはまず南からの光であり、求められる東西に長い平面を、南北方向に凸凹させることで、角度を振った長い距離の撮影が可能になるように平面が決まった。仕上げは数年おきに変わり得るということであったので、入隅を撮影スポットとするL字の壁を、建具で見切りながらつなげている。撮影のために求められた高さ2.7mの壁の頂部には笠木的に写真を見切る小さな天井が回っていて、そこから上は採光層として存在する。スタジオに付随してメイクルームがあり、本体と既存躯体との間は非空調の半屋外空間で、撮影スポットとして仕上げられているところと、倉庫然とした空間が併存する。
当初木造住宅のスパンで提案していた構造だったが、撮影背後のクルーの居場所などを考えていくうち、スパンは5mを越えてしまった。このように流通材の規格を越えてしまった時に設計者が取る態度として、集成材を選ぶことは合理的だ。しかし経済成長期の伐採&植林から60年以上が経ち、山に四寸角が十分採れる径の原木がたくさんある現状、資源ありきで設計を考えると集成材であるべきではない。そもそも木造という構法を考えると材ごとに強度は違うし、狂うし割れるし、構造的には決して合理的とは言い難い。その代わりに素材としての木の温かみや吸湿性、断熱性や可塑性といった、多義的な側面があることが木造という構法が構造形式を越えて現代的なところであり、こうした多義性を最大化するべく3m、4m長の四寸角流通材を12本束ねて、構造的に冗長性のある“重ね梁”とし、採光層に現すことにした。元々あった倉庫の架構を作業場に見立て、製材所から直接届いた四寸角流通材約230本を、その場で手刻みで加工して、組み上げた。
木材を積み重ねて長いスパンを持ち出すという手法は、法隆寺の頃からなされてきた手法である。著書「時のかたち」の中でジョージ・クプラーはかのように述べている。“文化の束は、出来事という繊維状のさまざまな長さの期間で構成される。(中略)それらはほとんど偶然によって並べられ、意識的な将来への展望や緻密な計画によって並べられることはめったにないのである。” 四寸角のみでつくられた架構は4号建築として確認申請が可能な躯体となっている。この国の森林資源や流通の現状を鑑みて、歴史の中に積み上げられてきた試みを、明るい未来のために並べ直すこと。僕らがすべてのプロジェクトを通じて行っていることであり、「垂木の住宅」などの無垢材シリーズはその一側面である。

延床面積:202.57m2
設計期間:2018年7月-2019年1月
見積期間:2019年1月-2月
施工期間:2019年2月-5月
設  計:富永大毅建築都市計画事務所
構造設計: 川田知典構造設計
施工会社:AI建築都市計画事務所
キッチン:CKラジカルキッチン

photo 中山保寛写真事務所