Hiroki Tominaga – Atelier

レーダーチャート式課題評価

大学での設計課題の評価はなかなか難しくて、
成績にはAとかBとか、素晴らしいとSとかひどいとCとかをつけるのだけど
結局のところそれが何に対するどういった評価なのか大変に曖昧である。

僕が学生の頃は、評価などあまり気にしないで自分なりに納得できるところに辿り着けたか
という自己評価の方が大事だった気がするけど、
最近の学生は真面目な学生ほど成績の点数を気にする傾向にある。

こうした、しかも建築を学び始めて間もない学生たちに、
君の評価は”B”
と伝えるのはなかなかエネルギーがいる。

ということで今年教え始めた大学の課題の採点方式をレーダーチャート式にしてみました。

右半分3項目が設計力、左半分3項目がプレゼン力

着想力は、条件をどう読み取ってアイディアに落としたか
スタディ力は、その着想をどれくらい自分なりの方法で煮詰めることができたか(やる気を含む)
構築力は、そうして得たいろいろな思い付きを建築にまとめることができたか


図面力
は、文字通り図面がきちんと書けて自分の想像を翻訳できているか
表現力は、プレゼボードが魅力的に表現されているか
説明力は、ボードや発表を通じて、自分の考えたことをきちんと伝えられているか

全て5点評価で30点満点とし、成績をつける。
何が足りなかったか、何を伸ばせばいいか、明確になるのではというチャレンジです。

やってみると、最初の採点には時間がかかったが、A,Bよりもはっきりとした点数になるので、結果として採点も、講評も物凄い楽でした

プレゼンだけが突出した学生を過大評価することも避けられたし、
逆にプレゼンさえできてれば、もっと評価が上がった学生も、やる気ないだけで勿体ない学生も一目瞭然
やる気を出して、図面さえ頑張ればあっという間にA評価だよ。
プレゼンがもう少しできてればSだったのに!
スタディも頑張ってなかったし、図面も書けてないけど、このプレゼンが秀逸!

みたいなことがはっきりと言える。
28点の最高点を出した学生にはさすがにダメ出しがなかったけど、
どの学生にもこの辺がいいので、逆にこの部分をもっと頑張れと明確にダメ出しできる

センスが必要と思われがちな建築学科だが、6項目のうち4項目については技術である。
やる気がない程むしろ技術が助ける。
着想力については例えば現代アートをはじめ、ファッション音楽など他分野のものづくりの方法を知ることで、
構築力については建築雑誌、実物、展覧会などを見まくることで養えると話しました。

その他の技術としては
スタディ力は、模型をどんどんつくったり、ライノセラスやスケッチアップなどで3Dモデリングできる技術
図面力は、手書きが苦手ならCADを早めにマスターする
表現力は、スケッチが上手くなると一番いいけど、独自の模型表現やフォトショップの上達で補える
説明力は、映画や小説、漫画でもいいけどフィクションの作品がどういう手順で設定を伝えているかたくさん知ること
で鍛えられていくはずだよという話をしました。

評価する側も答えがあってやっているわけじゃないってことなんだけど、
課題の評価はあくまで一つの評価だから気にしすぎなくていい的な、
よくありがちな謎のエクスキューズを言わずに済んだ
のは良かったと思います。

意外とこのチャート式、建築家が自己採点できてしまうのでは
という恐怖も伴っていますが
僕が学生の頃の自分をこのチャートに基づいて採点してみると
着想力2、スタディ力3、構築力4、図面力5、表現力3、説明力3って感じでしょうか。
評価としてはBです(笑)。
とにかく図面くらいしか人に自慢できるものはなかった気がします。。。

評価軸は課題や今後のつけ方を見て変わっていくかもしれないけれど
上がってきた点数は、今回は感覚的な評価とほとんどズレていなかったように思いました。

設計課題を教える先生であれば、誰しもが心に秘めている評価方法とは思いますが
思い切ってオープンにすることで、学生に響いたかはまだ分かりませんが、
こういう風に教わりたかったという声は結構頂きました。

僕らの時代はやる気が物凄い学生だけが、その能力の有無に関わらず設計の業界に生き残るということになったけど
やる気が凄い学生がほぼ皆無になった、人材の争奪戦になるこれからの時代においては、
とにかくやる気があろうがなかろうが、設計者としての能力を伸ばすということが必要になってくるはず。

引き続きチャートをブラッシュアップしながら
分かりやすく教えていきたいと思います。