【旅行記】大分③ 宇佐~中津~山國~日田~長湯温泉(車)

朝から雨。これはもう仕方ないねってことで迷わずレンタカーを借りる。
伊東さんの大分農業文化公園に寄るも、会館前だったので外観だけ見る。ぐりんぐりんの方がよかったねとか無責任なこと言って、宇佐神宮へ。

八幡造り。アプローチの仕方が正面からじゃないというのが不思議な神社。二拝四拍を初体験。

そこからほど近い福沢諭吉の生まれた町、中津を目指す。

*中津市立小幡図書館 / 槇文彦 (1993)

風の丘葬祭場の前にできている槙建築。近くには福沢諭吉の生家もある小さな城下町の中に立つ。で、出た!またしても薄いボールト天井。槇さんもか。。

またもブリッジから吹き抜けを見下ろす眺め。左下に見えてる雁行した平面と自習スペースがうまく合っていた。

中津城をチラ見しつつ、今日のメインディッシュのひとつ風の丘葬祭場へ。

*風の丘葬祭場 / 槇文彦 (1996) 村野藤吾賞

僕らが学生の頃みんな好きだったシークエンス建築。素晴らしかったけど、ずっとこの写真のようにアプローチするんだと思ってた。きっとアスプルンドとごっちゃになってたんだな。

アプローチ。コンクリートの壁から天井が浮いている。コンクリートをこれだけ素材として使った建物も珍しい。

いろいろな参照が読み取れる空間。ポストモダニズムが時間の連続性を大事にしていたという側面を、単なる様式主義と歴史的に切り捨てられてしまったことは不幸だったと今さらながらに思う。全員が全く新しいものを目指さなくても良かった。イノベーションがないとダメという病。

告別室。スリットから漏れてくる照明の光には電球色と昼光色が混ざっている。こういう照明の使い方は初めて見る。攻めてる?。

火葬場。元々は水盤だったけど、水がないのがかえっていい気がする中庭。水盤建築をつくるときには、水/ガラスのように水がないと絶対に成立しないようにつくるか、水がなくても大丈夫なようにつくるかのどちらかしかない。これがうまくないのが安藤忠雄(笑)。

1階と2階のボリュームのズレが面白い吹抜けをつくって、そこに無茶苦茶カッコいい階段が挿入されるのが槇建築らしさです。

穏やかな光。常に光が漏れてくる空間。こういう根源的な楽しさをいつまでも忘れてはいけないよ。

礼拝堂へのアプローチ。ガラスの角度がシークエンスに対して、これが良かったのか気になった。こうあるべきだったんじゃないかと思って撮った1枚。巨匠に対するおせっかい(笑)。

礼拝堂。反対側の床付近に開いたガラスから芝生の緑を拾ってくる。水盤のあるスリット側はガラスにひび入ってた。

外構もぐるっと回ってみる。ランドスケープも含めて本当に気持ちの落ち着く建築である。

中津から山国方面へ車を走らせる。途中寄った耶馬渓の青の洞門。

耶馬渓だけでもじっくり見に来たい気がするが、時間がないので泣く泣く先へ進む。


*コアやまくに / 栗生明 (1994)

レンタカー借りたのは借りたらこれが見れるという誘惑に負けたというのもある。学生の頃に好きだった建築。タウンホール、ギャラリー、図書館、役所、アトリエ、カフェ、展望台、スケートリンク。パブリック全部乗せみたいな複合施設。

ガラスボックス内にコンクリートとアルミスパンドレルのボックスが点在する構成。当時理顕さんも含めて、ガラスボックスとグリーンなランドスケープという建築が流行っていた。ここではランドスケープはもっぱら水盤だったけれど。(中の木もあったけど枯れてしまっていた)。

もとは卒論のテーマだった水盤建築研究で出会った建物。水盤にスケートリンクという機能を付加したために、夏場は干あがってしまったが、室内には辛うじて残ってた。子どもの水遊び場など、水盤に鏡以上の機能を付加すると、季節ごとに干上がります。

建物の内外を貫通する遊歩道。もともと建物の裏にある見学施設として開放されている古民家につながっていたんだけど、今は柵が下りていた。建物のアプローチを増やし過ぎると、管理上の観点からはすごく嫌がられます(笑)。

素気ないが楽しい。コンクリートもいいもんですね(笑)。子どもたちが集まるであろう放課後に来てみたかった。

展望塔。うっかり職員がカギを開け忘れていたようで、無理言って開けてもらうと中は階段。このプロポーション考えたらそらそうかって感じだけど。
img_3854-min

展望デッキの下に空いていた窓からの眺め。大分人はこういうの好きなのか。

またデッキはオープンエアーだし、排水口が詰まってかなり水びたしだった。

十分堪能したので山国を後にして日田市に向かう。江戸時代以降に金融で栄えた町並みが残った豆田町を見て歩く。

商店の並ぶ重要伝統的建造物保存地区。

すごい気になった立面の豚足屋さん。豚足屋っていのうもよくわからないけど(笑)。

薬屋さんの岩尾家が必見。 スキップフロアを利用した木造3階立て建築。3階は展望室みたいになってる。

2階。右に大広間があるのは分かるけど、左が屋上庭園みたいになっているのがすごい。

中2階から瓦屋根越しに屋上庭園を見る。少しずつ上がる階段の左はトイレになっている。こういう構成の町家はなかなかみない。

日が暮れそうなので山道を飛ばして長湯温泉へ向かう。途中霧がすごくて死ぬかと思った。

霧の深い長湯温泉。川原へのアプローチが、特にデザインされているわけじゃないけれど、素敵。こういう風景ってヨーロッパに行くとたくさんあるけど。

川原のガニ湯。おじさんが黄昏ていたせいで入れず。。

*ラムネ温泉館 / 藤森照信 (2005)

意外と道路沿いに建っていて驚く。木の柵の中に笹が埋め尽くされていて、こういうランドスケープまで含めて世界観を徹底させることの大切さがよくわかる。藤森さんの建築はランドスケープがいつもいい。

普通は相当うるさくなりそうなものだけど、そこまでうるさくない焼杉と漆喰のストライプにスタディの跡をうかがい知る。

頂部はいつも松。徹底されたフィクションぽい楽しさ。

生々しい柱と低くて抽象的な天井が対比的につくられている。

ものすごい低温で、入っているとひたすら炭酸の泡に身体が包まれる温泉もぜひ一度入る価値あり。低温で長く湯に浸かるから長湯温泉だそう。
別府まで40kmくらいの道を走ってホテルへ。1日の走行距離が約200㎞超え。車は移動早いなあと当たり前のことを思う。

楽した罰として夕飯は関サバを少々。

次回最終日に続きます


2016-09-14