恒例の休みの建築旅。子どもの飛行機はまだ若干不安があるし、レンタカーでしか回れないこともあって、
新幹線+レンタカーでしか行けないところを全国からチョイスしていった結果、滋賀県という選択肢に。
何気にほとんど通過したことしかない気がします。意外と京都から近いということで京都も併せて回ることになりました。
ちゃんと見るのは10年ぶりくらいの京都駅(原広司)。
トップライトから朝日が入ってくる感じに、ヨーロッパのターミナル駅的な良さを改めて感じます。
今見ると、石や素材の切り替え方にばかり目がいきます。
無駄が多くて大変よろしい。
白飛びしながらチラ見する京都タワー(山田守)。
10年くらいブランクがあると、ここアニメで見たとこ!ってなる(笑)。
アニメで大階段が客席になっていて、おーって思ったけど、今なら舞台までもう少しきちんと設計する時代だよなあと。
京都駅前でレンタカーを借りて滋賀に抜ける前にせっかくだからと未見の京都国立博物館平成知新館(谷口吉生)を訪問。
図面見ながら、三十三間堂と旧館と平行配置の方がよくないかと思ってたけど、見た瞬間これで正解って思った。さすがです。
身体の向きを何度も変えさせる庭園的なシークエンスかつミースのバルセロナパビリオン的エントランスもよい。
これから向き合うものに対するほどよい緊張感がつくられていく感じ。
エントランスロビー。冗長的過ぎる気もするが、さすがに物凄い精度。
シークエンスに応じて光や視線の抜け方が完全に制御されている。
ガラススクリーンもフィルムで目隠しされて、トップライトとともにぼわっとした光で包まれているんですが、
2階への階段を上がるとステンレスの軒に切りとられた旧館が見えるとか、楽しい。
古くからある周辺の石垣のむっちりしたテクスチャ感が気になった。目地が焦げているところを見ると、焼けたものを削り出したのかな。美味そう。
ついでに隣の三十三間堂へ。
長かった。どうしても木材ばっかり見がちになってしまうんだけど、意外と内部をよく見るとラワン合板にステイン塗って貼られたりしているので、見ないことにする(笑)。
近江八幡を目指す前にせっかく車なんだからと大原に立寄る。15年ぶりの三千院。
夏は完全に緑に包まれるし空いていて穴場でした。
吉野の多間伐の森の密度を見た時の既視感がこれだと分かった瞬間。
大原といえば一番好きな宝泉院へむかう。
道中、苔むした石垣の間から生えちゃったツツジがちゃんと刈り込まれてるのが最高によい。
こうした偶発的に生まれたものをきちんとコントロールすることに大変共感する。
とにかく30センチ弱上がった敷居がいい。
肘掛けてここで仕事したい。
大原で昼飯を食べて、車で少しだけ北上。
東に山を越えると、琵琶湖大橋に出るのでそのまま東へ渡り
ようやく滋賀県に入って一気に近江八幡へ。
ラコリーナ近江八幡(藤森昭信)
滋賀にはそこら中にたねやとクラブハリエがある。
藤森さんの建築はいつもそうなんだけど
思ってたのよりスケールが半分くらいなのがいい。
キャラクターのいないディズニーランドというか、淡路夢舞台の藤森版というか、
どこかで見たことのある藤森建築がならんでいる。
ただランドスケープはよくできていてちゃんと稲育ててるところとか、琵琶湖畔の風景をきちんと大事にしてる感じがある。
より商業的な”恋する豚研究所”のような。。
軒にドーマー窓。
使われてる材料も含めて、自然を編集して人の営みを構築している建築だという印象があって
そのあたりは大変共感する。
そのまま近江八幡の町を散策。
琵琶湖とつながって街の発展に寄与した八幡掘。
荒れていたのを昭和40年代に住民が自主的に整備。いい感じに侘びてる。
今でも時代劇などの撮影が頻繁にあるそう。
掘と通りを結ぶ路地の石畳み。
この間だけ少しだけ観光地っぽい。
八幡瓦の技術を伝えるかわらミュージアム(出江寛)
そこそこ時間が経つと、ポストモダニズム建築も歴史の中に埋もれて見えてくる
近江商人の屋敷町を歩く。
滋賀県の明るいところは古い街並みも圧倒的に商家が多いところ。
武家屋敷町よりも開いているし、価値観的に現代に接続している感じがある。
塀は下部が木塀、上部が漆喰という蔵的なつくりが規範となっている。
建築家でありながら、メンタムの近江兄弟社の創立者でもある、ウィリアム・ヴォーリズによる建築もたくさん残る近江八幡。
近江兄弟社は学校法人も持っていて、ヴォーリズ学園の小中高が町に散らばっている。
教育と商業をまたぐ近江商人マインド、相当最先端なのでは。
再び八幡堀。
こんな風景のすぐ隣にもたねやとクラブハリエがあって、商業的な勢いで成立してる感じが健康的な滋賀県。
というとこで初日終了。
琵琶湖大橋を渡って、おごと温泉へ。
2日目につづく