【林業】続・林業と建築を考える旅① ~山に木材が無尽蔵にある時代~
木造の分担についての話しようと思っていたのですが
書いているうちに、もう一度整理しておく必要がでてしまったので
脱線させてください。
ということで今回は、IHAギャラリートークでもお話しした小規模流通の話です。
何故小規模流通が大切なのか。
前回シリーズの③でも書いたのですがちょこっとおさらいします。
少しデータが古いので、今はもっと顕著になっていると思いますが
濃い色が原木消費量の多い=大規模な製材所の数であり、薄いのが原木消費量の少ない=小さな製材所の数です。
このグラフの示すように日本の製材所の現状として、
少数の大規模な製材所が、日本の製材量のほとんどを担っているという現実があります。
一方で小さな製材所は全国各地にたくさんありますが、
林野庁の方針としては林業は基本効率化、集約化の方向に進みつつあります。
中嶋さんがレクチャーでも言っていましたが
林業側の立場からすると、大きな製材所(主に合板や集成材をつくる)のある周辺の山は
山と製材所の直流通が起こり、材価が下がって山は補助金ベースで回ることになります。
小さな製材所(だけではもちろんありませんが)が原木市場で競り落としてくると
材価は上がって、山は健全に回るという構図があります。
なので、小さな製材所と原木市場を機能させることが大事なのです。
そして我々建築家の話。
恥ずかしながら実体験なのですが
たとえば木造住宅の構造材をベイマツと指定して工務店任せで発注すると
下記のような流通になります。
信州の木材会社+プレカット工場から材は来たのですが、
材は当然海外の山で伐採され、製材されて輸送されてきます。
ここで僕が思うのは、我々、特に若い建築家が扱っているマーケットというのは
幸か不幸か非常に小さいのが現実で
それなのに、木材については大規模流通とそう変わらないルートをそのまま使っていて
それでハウスメーカーに勝てるわけがないよねということです。
なのでギャラリートークの結論の1つとしては
山を健全にしていくために我々ができることとして
それぞれの地域ごとに製材所の得意不得意や材種などの情報をシェアして
小さな製材所を活用していくことで、
オルタナティブな木材流通をきちんと表面化していくべきということです。
(実際には既にたくさんの人が取組んでいます)
これについては出来ることを整理して
部活動的に今後アクションを起こして行きたいと思います。
ということで次回は木材の使い分けをどう考えていくべきか
今ある木造の潮流を整理しつつ
これから目指す社会像を考えていきたいと思います。
*12/20までお茶の水のIHAギャラリーでこういう話をまとめた展覧会が開催中です。