【blog】建築と不動産のあいだとは何なのか。

この日曜は不動産と建築の間を横断する内覧会をふたつ見学。
ひとつは千葉事務所の兄弟子にあたる玉崎さんの設計した自転車好きのためのシェアハウス、Velo-house

自転車好きをターゲットにすると、賃貸がどう変わるかがよく考えられている。
実現したのは一人2台分止められる自転車ラックを眺めながらパーティーみたいな共有空間だ。
不動産屋とかディべロッパーみたいなところにごっそりお金持って行かれて、本当に頑張っている人にお金が回らないのが嫌だと、自分たちで募集するから仲介手数料いりませんというところもとても新しい。そのためにデザインした玉崎さんがソフト面や募集に積極的に関わっていくというところ、建築家ってこうあるべきなんじゃないか的な可能性をすごく感じました。

もうひとつは噂の青豆ハウス めっちゃ賑わってました。

完成前に既に7個の賃貸は満室だそう。長屋住宅でありながら、共用部的なデッキスペースを設け、そこからダイニングキッチンにアプローチできる設計もとてもよい。
いわゆる不動産屋に平面図と数枚の写真だけ載せて募集をかけるような枠組みを変えれば、賃貸住宅はもっともっと豊かになるということを体感できた。入居希望者を集めてワークショップをしたり、イベントをしながら入居者を集めていく、それをWEBで展開するという枠組みまで含めて設計する。
漠然とした膨大なマーケットを相手にするのではなく、限られたマーケットに対して、自己責任で募集すれば、いわゆる貸しやすいnLDKの間取りとか南向きだとか駅から徒歩何分だとかの優先順位は下がる。
ああ、みんな言ってる建築と不動産のあいだってそういうことなんだなあと。

Andozaka COINでは無意識にやっているけど、企画者や設計者がどんどん使うことに関わりながら、ユーザーをコーチングしていくような枠組みによって、その建物をフランチャイズだと思ってくれる人をつくることが、これからの建築業界にとってとても大事。仮にそうだとすると、デザインは依然として大事なのだと気づく。
なぜならたとえば仮に建築家の職能に「利用者を募れる」という仕事が加わったとしても、その枠組みは狭いほど募集がしやすいからだ。Velo-houseは「自転車」で膨大に増えているシェアハウスに対する要望を狭めているから成立する。となると、そこに固有のデザインが必要となる。XX好きなひと向けの賃貸住宅と銘打てば、変な条件ほど燃える建築家ほど設計に向いている人たちはいないワケだから。

一方で青豆ハウスのでき方は、ほとんどコーポラティブハウスに近いと感じました。これが分譲じゃないのが非常に不思議なくらい。 逆に言えば全ての建築行為をアーキネットのようなスタイルにすればいいのかもしれない。
土地探して、基本設計して、WEBページつくって、使う/住む人募集して、設計に対して口出ししてもらって、起工式上棟式のたびにパーティーして、仕上げ のときにワークショプして、完成したら宴して、引渡し後もちょこちょこイベント企画して、行くたびメンテして。それが新しい建築家像かもしれないなと感じさせる二つの内覧会でした。


2014-03-10