Hiroki Tominaga Atelier blog

八百屋と建築家

2013年8月3日 by htominaga

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独立して以来、八百屋で買い物をすることが多くなりました。
八百屋で買い物をしていると、この時期葉っぱものが高いとか、果物がりんごからいちごに変わったとか、季節の違いに非常に敏感になって幸せなのですが、
何より八百屋での買い物がコンビニやスーパーでの買い物より楽しいのは、商品が完全にパッケージ化されていなかったり、土がついたままの状態であることで、
その野菜をつくった人との距離を少し近くに感じることができるからじゃないかと思っています。
モノを通じてその奥にお金ではなく人間の存在を感じ取ることができるのは、実はこれからの社会にとってすごく重要なことなんじゃないかなと思うんです。

建ものを設計するとき、僕たちは要所要所、特に手の触れる建具周りで既製品を避けて製作ものを使うようにしています。
そして製作ものをつくるときはいつもあえて完璧になりすぎないものを目指しています。
それは単純に寸法の決まった既製品だと一品生産の建築にはフィットしないことが多いからということじゃなくて
既製品との違いをあえてつくることによって
少しだけどこかでそれを作ってくれた人の気配を感じられるようにしたいからです。
まさに八百屋の不格好な野菜と同じように。

壁紙ではなく塗装を好んで使う理由の半分も実はそこにあります。
ちょっとしたタッチアップ塗装の方が壁紙を1枚まるまる張り替えるよりも簡単にできるので、
仮に壁を傷つけてしまったときに自分でも塗れる=自分でも傷んでしまった家を治せる!と思ってもらえるようにしたいからです。
車好きな人は一日中車いじっていられるし、自転車もそう。
まあさすがにそこまではいかなくても、建築をもっと身近に感じて欲しいというのがいつも僕たちが思っていることです。

そんなことをちょっとだけ手の込んだ屋根型の住宅の螺旋階段を見ながら思っていました。