Hiroki Tominaga – Atelier

屋根型の住宅 / house of roof shape

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005[屋根型の住宅]

バブル期のマンションの1室を改修して、両親と子ども二人が暮らす居場所に改修する計画である。子どもはまだ小さく常に目の届くところにいて欲しいので、子ども部屋をつくっても、向こう10年は物置きになってしまう。都心の一等地でそんな無駄なことは避けたい。既存の壁を壊しつつ、子どもが大きくなるまで未完成の壁をつくるという、壊すこと作ることが等価に求められた。
僕らはいつも、より多くの人と共有可能な様式化した建築言語をスタートとし、それを再解釈することで新しい空間にたどり着こうとする方法論にチャレンジしている。今回提案したのは既存の薄い壁に直行する壁を立てると同時に、十字に交わる新旧二つの壁を方形の屋根型でくり貫くというものだった。
屋根型というひとつの「様式」を設計のスタートとしたのは、マンションだがメゾネットで庭(ルーフテラス)が広いため1戸建てのようにも考えられることと、既存天井が一部斜線によって斜めに傾いていたことがきっかけになっている。しかし僕らの狙いは、単に屋根裏のような空間を演出することでなく、屋根型をひとつの「形式」として捕らえたときに見えてくる斜めの断面線を空間に持ち込むことで、子どもや子どもとの生活を楽しむ両親にとって、その成長(=身体性の変化)が空間の意味を変えていくことにあった。下の階では上とは逆に壁が天井との間で屋根型に切り取られ、天井まで達しない台形の壁を作っている。子供の視線からすると、背が伸びることで、今まで見えなかった壁の先の風景がある日突然見えるようになったり、それまで頭をぶつけなかったところに頭をぶつけるようになったりする。
子どもが頭をぶつけるようになる頃が未完の壁の完成時期になる。屋根型に抜かれた壁は閉じられて、リビングと子ども部屋を分ける屋根型の壁となり、それまでの10年の記憶をそこに残していく。
「様式」というのは思考停止した状態である。建築的にも建築学的にもストックがものすごく多い現代は、そこら中に思考停止が溢れている。埋もれている様式を見つけて掘り起こせる能力と、それを再解釈して新しい思考を注ぎこめるトレジャーハンター的能力こそ、これからの建築家に求められる設計手法のひとつであると信じている。

延床面積:90.37㎡
設計期間:2013年3月末-5月中旬
見積期間:2013年5月中旬-6月初旬
施工期間:2013年6月初旬-8月初旬
設  計:富永大毅建築都市計画事務所
施工会社:前澤工務店
総工費 :約1100万

all photos masao nishikawa

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アフター神山邸