Hiroki Tominaga – Atelier

復元する橋 / BRIDGE OF resilience

復元する橋 
自然災害に対して強固な構造物で壊れまいと抵抗する無意味さを、東日本大震災は我々に突きつけた。強固なはずのRCの構造物は基礎ごと倒され、一方で鉄骨造の建物は骨組みだけ残った。あの津波の後の風景がもたらしたインパクトにより、自然災害に代表される強大な力には、抵抗する力(レジスタンス)ではなくて、受け流して壊れても速やかに復元する力(レジリエンス)で対応することが目指され、デザインの在り方に新たな課題をもたらした。
震災のあとに
 津波によってほとんどすべてが失われた南三陸町の復興のシンボルとしてかかる橋は、純粋にこのレジスタンスからレジリエンスへのパラダイムシフトを表現したものが相応しいと考えた。
 石橋のようなアーチ構造でありながら、重たく硬い石積みではなく、それぞれのピースは鉄骨のフレームでできている。この鉄骨フレームがアーチ橋と同じように積み重ねられ、それぞれが軽くとめつけられることで、この橋は成立している。
ダイアグラム
 万が一再度大きな津波に襲われたとしても、スカスカのスチールフレームが波を受け流し、損傷を最低限に食い止める。仮に流された船や車が衝突して傷んだ部分は簡単に交換ができるよう、2種類のフレームで構成されている。
 また、小さな単位が積み重なったデザインであることを最大限に利用し、単に川を最短で渡る橋とせずに、この単位を少しずつズラすことで、平面的にも海に向かって歩くようなアーチを描く橋とした。
 南三陸町に再び住む人々にとって、たとえ堤防が高くなっても決して離れることのできない海への畏敬の念が、この橋の佇まいや橋を渡る体験に現れるよう、復興の橋のデザインとした。

海へと
橋の建設
 遠くから見るとぼんやりと霞のように見える構造体は、白く塗られた耐候性鋼(コールテン鋼)でできており、時間とともに錆色に覆われていくようデザインした。また土手から這って映えてくる蔦類の植物に覆われることで、竣工当初から自然への親和性を高めつつ、次第に増していく錆色と蔦によって、元の屈強な石橋のイメージに回帰していく。
 舗装面についても構造フレームのモジュールを最大限利用し、フレーム間をパネル化することで、交換しやすさを最大限に高めることで、木材/合成木の使用を積極的に考慮したいと考えている。
(南三陸町復興の橋コンペ応募案)
経年劣化