Hiroki Tominaga – Atelier

【非常勤】首都大3年生住宅課題


*富永スタジオの学生(の一部)と

首都大三年生の住宅課題。昨年は最終講評だけ見てるんですが、その成果と比較してもうまくいったんじゃないかとホッとしています。

「名作住宅から学ぶ」というテーマでなるくまの猪熊純さんとB1Dの宮内義孝さんと一ノ瀬先生と10個の名作住宅から一つ選んで、そこから学んだものを設計に落し込むという課題。

とにかく学生に建築を探求することの楽しさを教えないといけないということで、実践したのは3つ。

1建築を見る目を鍛え言語化すること
2そこからたてた仮説に基づいた独自の方法で設計すること
3できた案(複数)に良さを競わせて次の仮説を生み出すこと

最初の週にリサーチをそれぞれに発表してもらって仮説を立ててもらってから設計を始めました。

学生にはエスキスでは
・決まった方針通りやってみる
・それでうまくいかなかった分を修正してみる
・その過程で思いついた全然別の案をやってみる

ように指導したものの、いざエスキスとなると複数案を持ってこれる学生はほとんどいない。

2までしかやらないからみんなセンスがないとか思いこむわけで、3の量が大事なのですが、
3まで到達できる学生がほとんどいなかったので、最後にはテーマが近い学生同士で案を比較させるという方法に。

全員のエスキスを聞けと言ってもなかなか無理なので、こういう時は情報を有限化することが大事です。
情報は放っておいても入ってくると思うのではなく、限られた情報を捕まえにいくことは勉強の第一歩。

最終講評で住宅課題賞に出す一人を選ぶのに、最終的に最優秀案に決まった学生は、リサーチの時からこの子の視点が一番鋭いと思った子だったんですが、2年生まではあまりパッとしない学生だった様で、建築を見る力を養うことの重要さを改めて感じました。

卒業設計時にどうなってるか楽しみです。


3年前期ってターニングポイント
で、みんなと同じノリから外れて、建築オタクっぽくなる人と、のめり込めずに建築設計から距離を置くようになってしまう人と分かれやすい時期なので、ボトムアップが可能なように、名作住宅というガイドラインを敷いたのは良かったと思います。

コピーに近い案はあったけど、結果としてつまらない案が50人いてほとんどなかった

参照する作品は教員同士で議論しながら決めたのですが、HOUSE F(坂本一成)、ショーダン邸(コルビュジェ)、ミュラー邸(A.ロース)、 レイマンの住宅(H&deM)、B(青木淳)、ラタピ邸(ラカトン&ヴァッサル)、カウフマン邸(R.ノイトラ)、ダラヴァ邸(R.コールハース)、HOUSE A(西沢立衛)、未完の家(篠原一男)の10作品。

結果、「未完の家」を選んだ学生が3人も遅れるという、単位をかけて身体を張ったボケが繰り広げられました(笑)。

「B」を選んだ学生が素材の難しさからか結構苦戦したのと、条件の違い過ぎる「HOUSE A」も相当苦戦。あとアイディアのシンプルすぎる「ラタピ邸」

逆にどれも良かったのは「HOUSE F」、「ミュラー邸」、「ダラヴァ邸」、「ショーダン邸」。どれもいろいろ建築的な良さの読み替えが可能な住宅ということが大きな要因かと思います。ロースは教員陣の中でもちょっと今再考すべき人かもしれないという声が上がるほど。

学生からは楽しかったという意見を多くもらったので、そこは良かったけど、同じ案に固執せずに延々とスタディを続けられたり、複数案を比較してそこから次のアイディアを見つけられる人だけが、もうひとつ上の次元に行けるのだということを口を酸っぱくして言う打ち上げとなりました。

建築はほかの業界にもつぶしがきくってよく言われるんですが、設計を続けるにしろ、そうでないにしろ、一番学んで欲しかったのは、上に上げた1~3の作業を通じて自分自身が立てた仮説を実践して生きていく力です。

勉強することでそれを得られた学生は、周りのノリに流されて就職活動で人と細かな違いを比べられたリ、その先も給料や労働時間の違いを人と比べるような人生から逃れる力を得るので、生きることがもっと自由で豊かになるはずなのです。

とにかくお疲れ様でした。卒業設計のOB講評会で会うのを楽しみにしています。